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日本人離れのした歌唱力と演技力で圧倒
青木FUKIのリサイタル

よくある日本の流行歌ではない。勿論。演歌とは違う。歌と演技が一体となった歌。

フランスのシャンソンのようでもありイタリアのモダンカンツォーネのようでもある。今の日本はいざ知らず。

ここアルゼンチンの日系社会では今迄、聞きなれないポップ調の歌のリサイタルが去る12月1日20時から沖県連会館大ホールで催された。

当夜のプロタゴニスタは日本からブエノスアイレスを訪れている青木FUKIなる女性歌手。

青木FUKIについては寡聞にして知らないが、その声量、表現、歌唱力と演技力などから推して素晴らしい歌唱力と演技力を兼ね備えた近代的との印象を受けた。それもその筈、彼女はオペラを学び小沢セイジとも共演したことがあるとのこと。

先ず体格がいい。グラマーの形容がピッタリの肉体の持ち主でそのせいか声量の豊かさは日本人離れがしていて迫力があり、その歌に伴って動く肉体の表現は西欧的にして、聴く者を圧倒する。

その力強い声はタンゴ向きであり、演技力もタンゴ的でタンゴを歌わせてみたいと思わせる歌手。とにかく、日本の伝統的な型からはみ出した歌手である。

青木FUKIさんはアルゼンチン日系二世の前森オスカル氏の招きでブエノスアイレスを訪れたものであるが、日本で隅々、日本を訪れていた前森オスカル氏と知り合い初めて日本から一番遠い日本とは全く地球の反対側にあるアルゼンチンに移住者とその子孫によって構成された《日系社会》(COLECTIVIDAD)があり日系人が多数住んでいることを知らされた。それまでアルゼンチンと言えばタンゴしか知らなかった青木FUKIさんにとっては新しい発見であった。

言語、風俗、習慣を全く異にする異国で艱難辛苦の末、築き上げた日系社会。その日系社会で日本人一世たちは日本の歌に涙を流し、ニ、三世たちはカラオケを通して日本の歌を憶え歌うと聞いて、是非、アルゼンチンまで行って歌ってみたいと思った念願が当夜のコンサートとなったというわけ。当夜の歌が聴衆に強い印象を残したのはこんな彼女の願いが秘められていたからだろう。

リサイタルでは▼愛はあなたのように▼愛に追憶▼愛燦々▼川の流れのように▼ケセラケセラ▼悲しみのそれあど▼ラリベルディなどを歌ったがフランスやイタリアの影響が強く窺われる表現たっぷりのものだった。

特別出演して川滝ミチコ、渕脇アンドレア、与那城カレン、大城クラウディア、大城バネーッサ、ミルタ・ベーレス六名が協演したが、何れ在亜日系社会のカラオケ大会での入賞者として知られる日系の名歌手たち。

この中大城バネッサさんは去る10月、ブエノスアイレスで開催された「NHKのど自慢大会」で優勝したことは未だ記憶に新しいところ。

青木FUKIさんのリサイタルが行われた日が大城バネッサさんの誕生日とあってリサイタルのあと、青木歌手も加わって誕生日を祝った。

なおピアニストとアルマンド・ヌーネスとテクラードのダニエル・アッサローニが青木さんの伴奏を行った。

司会はセルビオ与那覇、通訳はアリーシア前森。
プロダクションはオスカル前森とコーキ仲里。

青木FUKIさんは来亜の機会を利用してタンゴを聴いて廻っているらしいが、ブエノスアイレスの印象を訊ねたところ「ヨーロッパのようで素晴らしい都会だけど、街には活気がないように思われた」との答えだったが、ごもっとも、アルゼンチンの経済危機は初めてアルゼンチンに来た青木さんも感じさせたようである。